▼各局リポート。人の「視力」に差があるのと同じく、色を認識する感覚「色覚」にも人によって差がある事はあまり意識されていません。そんな「色の見え方」をテーマに、大阪放送局の原大策アナウンサーがお伝えします。
燃えるような赤、キレイな紅葉を見たらきっと感動しますね。しかし、この赤が赤に見えない人がいる?
大きく違う色の見え方をしている、色を捉える感覚、色覚の異常を「色覚異常」といいます。
「色覚異常」の方がどんな色の見え方をしているのか、体験できる眼鏡を持ってきてくれました!石倉さんが体験してみます(*▽‐▽*)
眼鏡をかけると緑色一色の世界が広がる感じ…
「色覚異常」のある方のおよそ98%が、緑が強調されて見えている事がわかっています。周りの見え方はどうなっているのでしょうか…?
紅葉の写真、鮮やかな赤ですが、眼鏡をかけて見ると葉が茶色く見えます。キレイな紅葉が茶色い枯葉が落ちているように見えます、と石倉さん。
「色覚異常」は生まれながらの遺伝によるものです。日本眼科学会によると、日本人男性の5%、20人に1人が該当するという事がわかっています。
女性はおよそ0.2%。450〜500人に1人が該当すると言われています。日本全体では、およそ300万人。私たちも気付かないだけで、日常でその人たちと接しているかも知れません。
周りの人だけでなく、自分でも気付きにくいという特徴がある「色覚異常」。大人になってから初めて自分の色覚異常を知り、夢を諦めざるを得なくなったというケースも。
今は「色覚異常」があることで、就職が制限されるものはほとんどありません。しかし、消防官や警察官、鉄道やパイロットの運転士など、色覚制限を設けている職種があります。
制限がないというだけで、一部の職種では色を見分ける作業で支障が出る場合があります。広告や印刷業、映像関係やデザイナーなど、それ以外にも、美容師やアパレル業、救急救命士や看護師などにも影響が出る事が予想されます。
以前は、小学校4年生で「色覚検査」が行われていました。しかし、いじめや差別を引き起こしかねないとして、文部科学省が2003年に一律検査を廃止しました。
今は自分で検査を受けない限り、大人になるまで異常に気付かないという事が増えてしまっている、と。
緑色が強く見える世界から、赤が見えるように近づける「補正レンズ」があります。
「色覚補正レンズ」はおよそ2万人の人たちが使用していますが、ほとんど知られていません。
補正レンズを使った男性は、レンズをかけてプラスに働く方がもちろん大きい。紅葉を見ても以前は全くきれいだと思わなかったが、レンズをかけることによって世界が変わった、と。
文部科学省は、昨年、小学校での健康診断で「色覚検査」を復活させるという通知を出しました。今後、小学校で検査が再開されていく見通しとなりました。
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