2016年5月18日 毎日新聞

教材も 黒板も IT化
家電メーカー 学校へ機器普及狙う


 学校教育の現場にタブレット端末などのIT(情報技術)機器を普及させ、効率よく多様な学習を進めてもらおうと、家電メーカー各社がさまざまなサービスを打ち出している。

 シャープは今月から、個々の生徒の学力に合わせて英検受験の学習をサポートする新たな電子教材「KINTR(キントレ)」を売り出した。教材ソフトはタブレット端末を使って利用する。生徒は学力を確認するためのテストを受け、目指す英検の級を設定。それに対応した単語や模擬試験の問題を解き、間違えた部分は記録され、復習の際に再出題される。教材は旺文社と共同で開発した。学習履歴は外部メモリーに保存できるため、各学級で生徒1人に1台ずつ端末がなくても、グループで共有して利用できる。教諭は生徒の学習の進み具合や理解度を専用サーバー上で確認。授業や個別指導に生かす。

 昨年、佐賀県内の中学3年生に試験的に導入し、1日10分程度の学習を約半年続けてもらったところ、英検合格に必要な学力レベルの平均は当初の3級から準2級に向上。全国の中学・高校、塾などに広げたい考えだ。価格は、専用サーバーが約30万円、生徒1人当たり年間5000円が必要。

 パナソニックは今月から電子黒板の新商品の販売を始めた。電子黒板は教材の入ったパソコンと無線でつながる大型の液晶モニターで、数年前から徐々に教育現場への普及が進んでいる。
新商品は画面をペンで触れるだけで簡単に操作でき、色の見え方が一般の人と異なる色弱者でも見やすいように画面の色調を工夫した。男性の20人に1人、女性の500人に1人は色弱者とされる。パナソニックの担当者は「本人も色弱と気付かずに授業で問題になることも多いと聞いている。多くの人に見やすい配色にした」と話している。65型画面で約60万円。

 18〜20日に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開かれる「第7回教育ITソリューションEXPO」で、各社の商品やサービスが出展される。【土屋渓】