2021年8月25日 毎日新聞

プラカード 色覚障害者に優しく


 選手の入場行進で使われたプラカードの配色が、特定の色の判別が難しい色覚障害者に見やすいと好評だ。多様性を意識し、色覚障害に対応した標識づくりに取り組んできた大会組織委員会の広報担当者は、プラカードについて「(色覚障害のある人を)意識して配色した」と説明している。
 国名が記されたプラカードは空港の電光掲示板をイメージ。黒い素材に黄色の文字が使用された。テレビ中継でその光景が映し出されると、ネット交流サービス(SNS)上でも「色覚障害の友達に言われてようやくユニバーサルデザインだと気づく」「パラリンピックだからやるのではなくて、当たり前の日常になるといい」との声が上がった。
 色覚障害は、色を感じる3種類の目の細胞のうち、いずれかがなかったり、働き方が弱かったりすることで特定の色の判別が難しくなる障害。
 NPO法人「カラーユニバーサルデザイン機構」(CUDO)によると、国内では男性で20人に1人、女性で500人に1人いるとされる。
 組織委は大会前にCUDOとも意見交換したほか、東京都が策定した「カラーユニバーサルデザインガイドライン」などを参考に、色だけに依存しない標識づくりを進めていた。都のガイドラインでは、重要な文字を示す場合は黒い背景に黄色や白にすることを奨励しており、今回のプラカードもその狙いに合致する。
 色覚の多様性への理解を促進するNPO法人「トゥルーカラーズ」の高橋紀子理事長は「黒地に黄色の文字は対比が分かりやすく、見やすい。(色覚障害は)他者に分かりづらいものなので、素晴らしい取り組みだと思う」と評価した。【岩壁峻】