日本眼科医会会報

色覚補正メガネ 学童に推薦せず


職業上必要な人には使用価値あり

 色覚異常者が苦手な色を識別する手段として、色覚補正メガネがある。
 だが日本眼科医会・学校保健部では、学齢期の児童には色覚補正メガネの使用を推せんする意向はないという見解を示している。最近の学校教科書は、あまり識別 しにくい配色は使用していないというのが理由のようだ。
 また色覚補正メガネの使用で色覚異常が治るわけではないことも理解しなくては ならない。このメガネは分からなかった色が見えるようになるのではなく、色の違いを明暗の差などで区別できるようにするものだからである。
 ただし、色覚補正メガネの有効性も否定することはできない。昨年11月の日本眼光学学会においては、新しく開発された「色覚補正メガネ用フィルター」についての検討報告が行われ、パネル D-15により補正が確認された色覚異常者124人のうち、このフィルターを使用しないでパスした者が 8人、使用することでパスした者が 116人というデータが発表された。
 こうしてみると、職業上どうしても特定の色の識別が必要だという人には、色覚補正メガネの使用も考慮する価値は十分にあると言えるだろう。