2021年1月4日 大阪日日新聞

分かってほしい 色覚の個人差  大阪のNPOが啓発活動


 怪獣、大波のどちらに見えますかー。大阪市中央区のNPO法人「True Colors」が、色覚には個人差があることを知ってもらう活動に取り組んでいる。人によって2種類の絵柄に見えるユニークなTシャツ作りの資金をクラウドファンディング(CF)で募集、このほど目標に達した。高橋紀子理事長は「色覚の違いを分かり合える社会にしたい」と話す。
 法人設立のきっかけは2009年、広告代理店で働いていた高橋さんが、色覚補正レンズの販売で業者から相談を受けたことだ。色の違いを見分けにくかった男性がレンズを掛け、初めてカラフルな世界に触れた。涙を流して喜ぶ姿に、感銘を受けた。
 日本眼科学会によると、先天性で赤や緑が見分けづらい色覚少数派は、全国に300万〜320万人いる。黒板の赤いチョークの文字が判別しづらかったり、肉の焼け具合が分からなかったりする人もいる。
 法人は11年1月に設立した。大阪市内の小学校を中心に、赤や緑が見えづらい少数派の見え方を実感できる色覚体験レンズの研修会や講演などを通して、色覚多様性を訴えてきた。
 CFが目標額に達したTシャツは、大阪市北区のデザイナー、崎山霜一さん(72)が図柄を考案。赤や緑などの色の点が円の中にちりばめられ、怪獣と大波、富士山が浮かび上がるようにデザインされている。色覚少数派には怪獣が見えにくい。

ミニクリップ
色覚 色に関わる感覚。周囲と異なる色で描かれた数字を読み取れるかどうかをみる色覚検査が、小学校の健康診断などで長年、義務付けられていたが2003年、色覚の違いは学校生活に支障がないとして希望者を除き原則廃止された。就職活動で不利益を被る例もあり、文部科学省は14年、検査が受けられることを改めて通知した。