2020年12月28日 産経新聞

色覚に個人差 知って 大阪のNPO、啓発活動


 怪獣、大波のどちらに見えますかー。大阪市中央区のNPO法人「True Colors」が、色覚には個人差があることを知ってもらう活動に取り組んでいる。人によって2種類の絵柄に見えるユニークなTシャツ作りの資金をクラウドファンディング(CF)で募集、このほど目標に達した。高橋紀子理事長は「色覚の違いを分かり合える社会にしたい」と話す。
 法人設立のきっかけは平成21年、広告代理店で働いていた高橋さんが、色覚補正レンズの販売で業者から相談を受けたことだ。色の違いを見分けにくかった男性がレンズを掛け、初めてカラフルな世界に触れた。涙を流して喜ぶ姿に、感銘を受けた。
 日本眼科学会によると、先天性で赤や緑が見分けづらい色覚少数派は、全国に300万〜320万人いる。法人は23年1月に設立した。大阪市内の小学校を中心に、赤や緑が見えづらい少数派の見え方を実感できる色覚体験レンズの研修会や講演などを通して、色覚多様性を訴えてきた。
 CFが目標額に達したTシャツは、大阪市北区のデザイナー、崎山霜一さん(72)が図柄を考案。赤や緑などの色の点が円の中にちりばめられ、怪獣と大波、富士山が浮かび上がるようにデザインされている。色覚少数派には怪獣が見えにくい。Tシャツは来年2月末ごろまでに製作され、CF支援者に発送される。