3. カラーユニバーサル活動への支援 色覚多数者にとっては、色のバリアフリーということは、あまり意識することがなかった世界かもしれない。考えてみれば、どのような人も生きていく上で、それぞれ何らかの不便さや課題を持っている。近視もその一つであり、眼鏡という矯正器具を用いることで正確にものが見えるようになる。つまり、課題となる不便さを克服しうる工夫が重要なのである。そして同時に、少数者を「異常」といった言葉で切り捨てるのではなく、個性として受け入れる社会的な認識の変化が必要とされるということだろう。このような社会の風潮を受けて、日本遺伝学会は、「色覚異常」の用語を「色覚多様性」に変更することを決め、教育現場にも反映させるよう求める要望書を文部科学省に提出している。 True Colorsは、色覚というものに焦点をあて、色の見え方はそれぞれ違うという概念の普及と色覚少数派の人と色覚多数派の人の共存できるカラーバリアフリーな社会の実現に尽力してきた。このような活動が認められ、第11回大阪商工信金社会貢献賞地域貢献の部を受賞し、社会的にもその活動は、高く評価されている。 さらに、この非営利活動法人のユニークなところは、逆特性レンズというかたちでの体験研修を行う一方で、色覚特性に応じたレンズの開発にも協力していることである。このようなレンズの開発が進み普及すれば、色覚弱者は近視と同様、矯正可能なものと認識が変わり、社会での不便さは一挙に解消されるであろう。 このように、True Colorsは、啓発活動とともに産業化によって対策も提示するという点では、色覚に関するユニバーサルデザイン活動を包括的に支援する、小さくてもユニークな非営利活動団体である。 社会にはさまざまな困難を抱える少数派の人々がいる。身体に障がいを有する人々、精神的なしんどさを感じる人々、LGBTなどの性的少数派…そして、このようなさまざまな特性を個性として受け入れ、すべての人がその人らしく生きることが可能な共生社会が現在唱えられるに至っている。 アメリカ西海岸バークレーを訪問したときには、車椅子の人々が社会に溶け込んで暮らしている姿を目の当たりにした。このような共生社会が我が国でも自然なかたちで実現されることが、本当の意味での社会の豊かさであると感じる。True Colorsはそのような未来に向けた布石のため、ささやかながらも一歩先をいく実践を行っている。 【ACCESS】 特定非営利活動法人 True Colors |
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