文科省「検査」通知で 学校関係者が関心
同社は、色弱者の多くが苦手とする緑と赤の見分けを容易にするために、独自の検査機械でその人の色の見え方を測定。特定の光の量を調節するコーティング技術により、感度の強い緑を抑え、感度の弱い赤にそろえるなど、本来の色の見え方に近づける色覚補正レンズを開発した。疑似体験レンズ、フィルムは、その技術を逆に応用したもの。21万人を視覚検査し、色覚異常がみられた1万3000人の統計に基づいている。近く販売も予定。
文科省が教育委員会、学校などに出した通知によると、色覚検査は2003年度から児童、生徒の健康診断の必須項目から削除されたが、自身の色覚の特性を知らないまま卒業し、就職する時になって初めて色覚による就業規制に直面するという実態があるという。このため、適切な対応ができる体制を整えたり、教職員が色覚異常に関する正確な知識を持つことなどを求めている。
疑似体験レンズで見ると、赤と紫、黄緑と黄色はほぼ同じ色に見える。足立さんによると、黒板への板書、プリント、教科書でさえ、色覚異常者にとっては、逆に見えづらい色の組み合わせもあるという。
開発した擬似フィルムを大阪の公共施設で展示したところ、教諭や学校関係者から体験会の依頼が多く寄せられた。ある教諭は「『何でこれが分からいんだ!』と、子どもにひどいことを言ってしまっていた」と涙ぐんだという。
足立さんは、「まずは先生方に知ってもらうことが、子どもたちへの正しい指導につながる。さらには信号機や標識などへも意識が広がっていけば」と話している。
体験会は、同社に協力するNPO法人と開催。問合せは同社へ。