2013年2月20日 「ニューライフ」3月号

色覚障がいの人々の
安心・安全な暮らしを実現する理想の補正レンズ

(▲クリックで拡大)

色覚障がいの人々の安心・安全な暮らしを実現する理想の補正レンズ

小学校での色覚検査が無くなり無自覚の人が増えている。
日本の色覚障がい者は300万人存在するといわれている。
医学的に治療法がない色覚障がい者にとって、補正レンズの利用で趣味・生活・学問・仕事等で、選択肢が増え希望が広がることは朗報である。

大阪アイバンク理事長
多根記念眼科病院名誉院長 眞鍋禮三氏

ネオ・ダルトン株式会社
代表取締役社長 足立 公氏

眞鍋 20世紀末に小学校での色覚異常の検査は人権蹂躙だからやめるように文部科学省からの通達がありました。色覚異常については昔は学校に入学すると義務的に検査を行ってきましたが、治らないのに色盲を見つけるのは差別になるということで取り上げてはいけないことになりました。医療の分野においても性染色体を医療で変えることができないように、色盲は生まれつきのもので治療法もないことから医療の分野から外したほうが良いというのが当時の考え方でした。我々自身も色覚異常は男性と女性を区別するのと同じくらい触れてはいけない問題だということになってしまいました。
 ところが4、5年前から医療に対する考え方が変化しまして、病気を治すだけが医療ではなく、QOL(クオリティ・オブ・ライフ---生活の質)を向上させることが医療だと言われるようになり、信号の色が分かりにくいなどの不便を感じている方を医療が手助けしようという考え方に変わってきました。
 この病院にも、まれに色弱の方が来られますが、医療では何もすることができないため、御社のような企業を紹介するシステムになっています。

足立 前身のダルトンは平成2年より中国製のレンズを取り扱ってきましたが、昨年の4月より国産化に向け、また当社では色感度測定器と呼んでいますが、十人十色の色弱者の見え方それぞれを測定する器械の開発を進めるために新しいダルトン、すなわちネオ・ダルトンを立ち上げました。

眞鍋 色弱者はどのくらいおられますか。

足立 統計では男性で20人に1人、女性は400〜450人に1人です。学校の1クラスに1人はおられる計算になります。日本全体ですと300万人になると言われております。ちょうど血液型のABがたの男性の人数と同じくらいの人数です。白人の方では比率も高く全体数ももっと多くなります。
 先ほどの先生のお話のとおり1993年までは小学1年生、4年生、中学1年生,高校1年生と4度行われた色覚検査が1994年から8年間は小学4年生に1回、2003年からは全く行われなくなりました。
 4回の検査から回数が4分の1になり、それから8年で検査が行われなくなるまで、あまりにもスピードが速かったのではないでしょうか。現在一度も検査を受けていない方が就職の際に自分の道を決めていながら色覚障がいのために不採用になってしまい、突然の路線変更に苦労されることが多いです。