2013年2月20日 「ニューライフ」3月号

色覚障がいの人々の
安心・安全な暮らしを実現する理想の補正レンズ 4

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 情報の80%は目から入るといわれています。
 例えば大阪の地下鉄の路線図ですと東梅田の谷町線、堺筋線、御堂筋線などたくさんありますが路線が色で分けられています。矢印も駅の中で谷町線は紫色というように色によってサインがあるというのが色覚障がい者にとって非常に分かりにくいものになっています。色覚障害者にとりまして、世の中はなかなかやさしくなりませんね。社会的に大きな問題として捉えてほしいですね。
 ロービジョンの方が拡大鏡を求められるときに行政から補助金がありますね。

眞鍋 そうですね。医者が身体障害者であることを証明することによって補助されます。

足立 10万円位の拡大鏡が1万円程度で手に入るそうです。補正レンズも補助の対象になると良いのですが、一対が税込7万3500円です。
 色弱者が義務教育を受ける際に年間2万円を支給するという町がありますが、問い合わせたところ1件も支給の実績がありませんでした。差別意識から名乗り出にくい環境なのかもしれません。また検査がないので自覚のない子どももおられるかもしれませんね。
 知り合いの自動車教習所で教官の方が黄色の点滅信号で自動車を必ず停止させる生徒さんがいると言う話を聞き、色覚障がい者かもしれないと思いました。赤黄青の信号ならその設置場所で色が判断できますが、赤のみの点滅、黄色のみの点滅の場合は理解しにくいことがあります。その後ご本人に確認するとやはり色弱と判明したということがありました。
 自覚のないまま免許を取得して事故に繋がるということもあるかもしれませんので注意が必要ですね。

眞鍋 確かに制度の上で盲点になっていますね。

足立 義務教育中は差別から守られたとしても社会に出るとさまざまな困難がありますので、そういう面も含めてトータル的な見直しが必要ですね。

眞鍋 視覚障害者はライトハウスが職業訓練などをおこなっています。

足立 視覚障がいの方から伺ったのですが「見え方」のモニターを企業から依頼されることがあるそうなんですが、その中で色覚障がいのモニターが全く見つからないそうです。言わない方と20歳までの方はわからないということです。
 やはりできるだけ早く検査を受けられるほうが良いですね。高齢になって補正レンズを利用された方から、早くにわかれば対応できたのにというお話をよく耳にします。
 多くの方が手軽に利用できるように補助の対象になることを願いたいです。
 技術的には近視または老眼のレンズに加工しますのでひとつのレンズで作ることができますが近視や老眼の土が進むとレンズを変えなければならず高額になります。そのため当社では補正レンズのみを扱っています。
 現在使用している視力矯正用のメガネの上に取り付けて利用される方も多くおられます。
 視力矯正はコンタクトレンズを併用される場合もあります。
 補正レンズを利用されるまでの色の世界から、一般の方が見ている色の世界に変わると最初は違和感を感じられるようです。

眞鍋 コンタクトレンズでもできますか。

足立 技術的には可能です。医療との連携が必要になりますね。コンタクトレンズは医療器具ですから外国で開発されたものを輸入することは可能だと思います。現在のところ国産では難しいと思います。

眞鍋 コンタクトレンズですと見た目にもわかりませんので普及にはずみがつきそうですね。

足立 今後はぜひ、そういったことにも取り組んでいきたいと思います。本日は有難うございました。

大阪アイバンク理事長
多根記念眼科病院名誉院長 眞鍋禮三氏

ネオ・ダルトン株式会社
代表取締役社長 足立 公氏