2013年2月20日 「ニューライフ」3月号

色覚障がいの人々の
安心・安全な暮らしを実現する理想の補正レンズ 3

(▲クリックで拡大)

← 2ページ

 その後、当社にご相談に来られメガネをお作りになられ、ようやく合格された事例があります。
 このようなことを防ぐために、事前に検査を受けていただきたいと思いました。治療ができなくても補正メガネを利用されるという方法があります。この補正メガネの存在もぜひ知っていただきたいと思います。
 色盲と色弱の違いをご説明しますと、色盲は一つの色を感じる細胞が欠落している方、色弱は例えば赤を感じる視細胞は0ではないが一般色覚者から見れば100%以下で赤を感じにくい方です。

眞鍋 全色盲は非常に少なく、数としては何万人に1人の割合です。

足立 見え方はセピア色の世界というのをよく聞きますが、実際にどのように見えているか分かりませんが、濃淡だけという感じでしょうね。
 先日、おひとり当社にご相談に来られましたが、結局、補正できませんでした。

眞鍋 錐体細胞自体がないので難しいと思います。
 色盲の研究に熱心な大学もありましたが、現在も熱心に研究している学校があります。一般の医者からは、研究をするのは問題ないが医療でないものに医者が関与するのは、昔は視力でも0.01以下に下がってくると医療から外されて身体障害者、視覚障害者というレッテルを貼られ、その後は行政のほうに任せていました。子どもの場合、普通の学校には通えないため盲学校や弱視学級に行きなさいというように医療から外され、行政は信号の色を赤と緑から赤と青に変えるなどの努力はありましたが、病気を治すという意味ではありません。
 それは生活の質を上げているわけですが、そのうちに医療は病気を治すだけではなく身体障害者で杖の使い方やコンピューターで点字を打つとタイプライターと同じように働いて、パソコンの使い勝手の方は盲目の人のほうが上手に使われます。点字は6つの点ですべてを表しますが、パソコンのキーは50〜100もあるので、点字機を打つと普通のタイプライターと同じように日本語に変換されるものがありましたが、現在はパソコンで点字を訳して音声にしてくれるものができたときに、ろう学校の先生やコンピューターの専門家など眼科の先生と関係ない方も集まって、ロービジョン学会ができました。その際に杖のつき方一つでも、その人の生活の役に立つわけです。行政は駅のホームに盲人用の黄色い敷物を入れました。そのようなものはその頃からできてきました。それを見て、今度は医療のほうが生活の糧にするのが良いということで、ロービジョン学会を立ち上げましたが、医療の方にそういうシステムはできていません。ロービジョン学会は日本語に訳されていませんので、まだ日本には無いということです。
 私も学会に参加しておりますが、色盲等で困っておられる方々の手助けをされている御社のような方々と協力していくべきだという話になっています。なかなか政府は認めてくれませんので難しい問題です。

足立 そうですね。そういうお考えの方々がいらっしゃるということに感動しました。

眞鍋 点字を訳して音声にするパソコンは盲学校などでは普及しています。目の見えない方がパソコンを打てるようになりましたし、点字が読めない方には音声で知らせるというシステムができています。
 色弱の問題は、しばらく触ってはいけないものになっていましたので、今後、私も勉強させていただきます。

足立 色覚検査は無くなりましたが、社会的には色覚バリアフリーの動きもあります。テレビ等でもテロップの文字に縁取りをしたりして見えやすいような配慮がなされるようになってきましたが、基本的な問題の解決にはなっていません。自然の色も変わりません。
 就職試験の時も窓口は受け入れても、条件として「実務に支障が無いこと」という項目がある所も多いのが現実です。補正レンズで色が見分けられるということは、生来の見え方を温存し身体を傷つけるわけでもなく、とても便利なメガネですがなかなか普及していません。