第186回国会 参議院予算委員会 第13号会議録(2014年3月14日)

有村治子氏(自民党)の「行政改革の一環としての色弱者への対応」についての質問と答弁

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 この上の帯がいわゆる虹色で、通常の健常者の方々に見える色でございます。それが、色の判別が付きにくい色弱者の方々には同じ色がこのように見えます。健常の方には赤と緑が全く違う対比できる色ですが、見てみますと、色弱の方にはこれが黄土色として同じ色にしか見えないという現状があります。同じように、星印が一緒に見える、四角印の紺や青と紫も同じようにしか見えないというような色弱者の見え方の特徴があります。
 そういう意味では、学校の健康診断で行われていた色弱の検査というのが必須でなくなりまして十年以上が過ぎました。私たちが小さい頃には必ずこの色弱検査というのを受けなければならなかったんですが、就職差別などのことがあって撤廃をされて、必須ではなくなりました。しかし、そういう検査を受けなかった子供たちが今、自分が色弱であるということに気付かぬまま成長して、就職時に初めて自分が色弱であることに気付き、希望した職種、例えばパイロットや警察官、運転士ということを断念しなきゃいけないという事例も報告されています。
 そういう意味では、本人の希望、保護者の希望に基づいてプライバシーを確保した上で検査環境を整えて、子供のうちにその色弱かどうかの検査をする機会をしっかりとつくることも道ではないかと思いますが、学校の健康診断、色弱検査のあるべき姿はいかなるものでしょうか、文部科学省にお伺いします。

○国務大臣(下村博文君)
 お答えいたします。学校では色弱でなく色覚検査というふうに言っておりますが、この色覚検査については、色覚異常の有無及び程度を明らかにすることを目的に、昭和三十四年度から平成十四年度まで、学校における定期健康診断の必須項目として実施してまいりました。しかしながら、この色覚検査において異常と判別されるものであっても大半は支障なく学校生活を送ることが可能である、また文科省としても手引を作成し、色覚異常を有する児童生徒への配慮等を指導してきた、そういうことによりまして、平成十五年度からは色覚検査は学校における定期健康診断の必須項目から削除され、希望者に対して個別に実施する、そういう項目に変更になりました。
 その後、最近になりまして、自身の色覚の特性を知らないまま卒業し、就職に当たって初めて色覚による就業規則規制に直面するという、そういう実態が報告されたことを踏まえまして、日本眼科医会から希望者に対する検査の実施の推進を要望されてきたところであります。
これを受けまして、文科省に設置した検討会において昨年十二月にまとめられた意見書で、色覚検査においてより積極的に保護者への周知を図ることが大切であるというふうにされ、今後は積極的な色覚検査に対する周知徹底を図ってまいりたいと考えております。

○有村治子君
 下村大臣、ありがとうございます。実は、私たちの小さい頃にはこの検査が必須でございました。同級生がいっぱいいる中で検査をされて、同級生がこんなのもおまえ読めないのかよとからかわれたりして、色弱の方は非常に屈辱的な思いをして、一部のハンディがある方はその検査そのものを撤廃するという運動を起こされたぐらいに自尊心が傷つけられるという深い傷を負っていらっしゃるのも、これまた現実でございます。(発言する者あり)いじめられたというお声もありました。そういう意味では、是非にその児童生徒のプライバシーを確保して、そして、その同級生からやっぱりからかわれることのないように、そしてその告知の場合も本人にプライバシーに確保して通知される、その環境の徹底に、是非色弱者の方々のお気持ちをやっぱり大事にする行政であっていただきたいと思います。
 そして、自治体のホームページ、御紹介をする資料の二を御覧になってくださいませ。これは、中部地方にある、ある市のホームページから取ってきたものでございますが、何々市のホームページのトップページでございます。そして、緑の中で赤でようこそ何々ホームページへというふうに書かれていて、この市が悪いというわけではないので名前は今日は明らかにしていません。
 けれども、そして、これは地下鉄の乗り場の表示でございますが、これが色弱の方々にはどのように見えるのかということをお伝えをしますと、緑の地に赤というのは、黄土色の中でほとんど字が見えない、どこにカーソルを置いていいのかも分からないという現状になります。そして、地下鉄のこの新宿都営線、千代田線、丸ノ内線、健常者には明らかな色の違いがありますが、それも黄土色の濃淡にしか見えないという現状があります。
 学校で、まさにこれ黒板の状況なんですね。緑の黒板に赤のチョークで先生が文字を書いても、色弱の方には書かれている文字がほとんど読めないという現象が起こってまいります。今、健常者にもみんなにも分かりやすくするために、小学校の教科書は全部カラーになりました。山道の案内図、標識もカラーになっているところがあるんですが、カラーになると、見えやすいことを意図しているにもかかわらず、実は色弱者には全く見にくいものに悪化しているという現状もあります。